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あなたの面影
第6章 雨が降る金曜の夜
名執さんに電話をしようかと思い、やめた。

二人も待ち続けるのはごめんだから。

聡志一人でいい。

充分だ。

もう人を待つのは懲り懲り……


帰ろうと本を鞄にしまい立ち上がったとき、バーのドアが開く。

雨に濡れた名執さんが飛び込むように店内へと入ってきた。

「名執さん……」

「ごめんっ!! 遅くなって!!」

息を切らした名執さんが近付いてくる。
傘を持ってるのにささないで走ってきたみたいでスーツがすぶ濡れだった。
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