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あなたの面影
第9章 危険な罠
「ああ?」

タケルは血走った目を剥き、顔を近づける。

「俺は命令されるのが何よりも嫌いなんだよっ!!」

ナイフを振り上げ、私のブラウスのボタンは弾けるように飛んだ。

「もういいでしょ!! やめて!! お金あげるから、ね!!もうやめてよっ!!」

悪ぶってみたところで玲香ちゃんはやはり根は気が弱く、良心も持ち合わせていたようだった。
泣きながらタケルの腕に再度しがみついた。

「金?」

下卑た笑いを浮かべ、ピアス男と坊主頭が目で語り合って頷く。

「そうだな……五百万で手を打ってやるよ」
「ごひゃくっ……」

思わず私が唸ってしまう。
そんな大金、用意できるわけがない。

「……分かった」

しかし彼女は静かに頷いた。

「騙されちゃ駄目!! 一度金を払えばコイツらはつけこんで何をしてくるか分からない!!」
「うるせぇ!! ババァ!! 黙ってろっ!!」

手を振り上げて坊主頭が怒鳴った。
反射的に手で顔を覆って震えてしまう。
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