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あなたの面影
第10章 告白
「実は俺……」

彼にしては珍しく、歯切れわるくそこで言い淀み、うつ向いた。

私は黙って彼のことを見詰めていた。
彼が顔をあげた瞬間、視線が絡む。
その表情はいつもにも増して険しい。
そして意を決したように口を開いた。

「実は俺、ドSなんだよ」
「うん」

私は頷いて続きを促した。

「……え?」
「……え?」

戸惑う彼を見て私も戸惑ってしまう。

「……あの……おしまい?」

恐る恐る尋ねると彼は小さく頷いた。

「おしまいなんだけど……俺の秘密」
「ええー!?」

拍子抜けと驚きで思わずのけぞってしまう。

「知ってましたし、それ!!」
「嘘っ!?」

この人は何をどう考えて自分がドSなのを隠せていると思っていたのか、そちらの方が不思議だった。

「だってただのSじゃないんだぜ? ドSなんだぞ!?」
「…………知ってます」

もはや馬鹿馬鹿しくなってしまっていた。
真剣に怯えていた私はなんだったのだろう……
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