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あなたの面影
第11章 『あなた』
「やめろよ、父さん。父さんだけが悪い訳じゃない」

聡志は顔をしかめて頭を下げる父親から目を反らしていた。

二人は金策や日雇いの仕事のためこの街で身を隠すように二人で住んでいるらしい。
聡志のお父さんは私がやって来たことを本当に嬉しそうにしてくれた。
しかしその喜びを口にする度、聡志からたしなめられていた。

「さ、もういいだろ」

聡志は急かすように私を部屋から連れ出そうとする。
もう少しお父さんとお話がしたかったが、諦めて立ち上がる。

「瑞波さん、来てくれてありがとう……息子のこと」
「父さんっ……」

聡志はそれまで以上の剣幕で父を叱った。
私はなにも言えなくて会釈をして部屋をあとにした。

「ごめんな……汚いとこで」

駅までの道中、聡志はポツリと呟いた。

「ううん……連れてきてくれてありがとう」
「父さんも失礼なこと言って……」
「失礼なことなんて……」




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