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あなたの面影
第11章 『あなた』
しかし強がれるのもそこまでだった。

「さとしっ……」

電車に乗ると涙が止まらなかった。
込み上げる感情と共に涙が溢れる。
圧し殺し切れない嗚咽を出して、人目を憚らず私は泣いた。

ごめんなさい……
私は聡志を待ちきれなかった……
だって寂しかったんだよ……
もう永遠に独りなんだと思ってた……

ごめん……

ごめんね、聡志っ……

せっかく帰ってきてくれたのにっ……

キスさえ……

してあげることが出来なかった……

気づけば乗り換え駅も通り過ぎ、終着駅まで来てしまっていた。
車掌さんに促されて降りた私はベンチに座り、空を見上げていた。
まだ暮れる前の空には中途半端な形をした三日月が見えていた。


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