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あなたの面影
第12章 傷の深さ
「あのさっ……聡志っ……」

とても自然とは思えない裏返った声で帰ろうとする彼を呼び止める。

「ん? なに?」

私の声に聡志もやや身構えて振り返る。

「あのね……私……謝りたいことがあるの」
「謝りたいこと?」

立ちかけた聡志は再び私の前に座る。
もうあとには引けない……

「うんっ。そう。謝りたいこと……聡志のこと三年間待ち続けたなんて言ったけど……あれね、嘘なんだ」

聡志の目を見ては言えなかった。
けど思ったよりは上手に切り出せたと思う。

「そう……そうなんだ……」

聡志は寂しそうにも見えたが、どこか安心したような表情を浮かべた。
いや、そう見えたと思おうと私が考えているだけかも知れない。

「ごめんね……聡志が急にいなくなって。はじめは寂しいとか頭に来たこともあったけどね。三ヶ月後には新しい彼氏が出来たの」

喋ってるうちに調子が出てくる。
まるで真実のように嘘が口から溢れてきた。
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