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あなたの面影
第12章 傷の深さ
呆然と部屋に戻ると既に聡志はいなかった。

テーブルの上には一枚の置き手紙が乗っていた。

『彼氏と幸せになってね。今までありがとう』

私の体から落ちる水滴でその文字はすぐに滲んでしまう。

静かな部屋には雨が降りつける音だけが聞こえていた。

また、雨だ。

だから雨の日は、嫌いだ……

雨はすぐに私の大切なものを洗い流すように奪ってしまう……

濡れた体のままソファーに倒れるように座った。

……私が聡志を待ちきれなかったのが、いけなかったんだろうか?

それとも逆に聡志を吹っ切れなかったのが、いけなかったんだろうか?

人生はいいことも悪いことも起こり、結局プラスマイナスゼロである。
誰かが言ったなんの根拠もなさそうな言葉が頭に浮かんだ。

じゃあ私の人生、これからいいことづくめになりそう

たいして面白くもないことが頭に浮かんで、思わず笑った。
なんにもおかしくないのに、笑いはなかなか収まらなかった。

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