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あなたの面影
第13章 笑顔の別れ
「……うん。一仁さんなら、きっと出来るよ」
「ありがとう……まあ、正直言うと海外勤務は瑞波から逃げ出すって言う意味もあったんだけどさ。せっかく瑞波が幸せに戻れるチャンスも、俺がいたら駄目になるかもって思ったし……」
「もう……私の気持ちも少しは考えて欲しかったな……」
「なぁんてかっこつけたこと言ったけど、何より俺も辛かったからかな。聡志が帰ってこないことを、ひっそりと願ってたし……帰ってこなかったら、本当は俺が瑞波を幸せにしてやりたかった訳だし……」

格好つけずに全部言えちゃうんだから、やっぱり一仁さんはすごい。
けど、

「一人で先走りすぎですよ……私だって……一仁さんを幸せにしたかったんですから……」

私も本音をぶつけてみた。
なるほど。
意外とスッキリするものなんだ。

「ごめんな……」

私の頭を撫でる一仁さんの表情はまだ固い。
私の胸に不安が去来する。

「それで……いつ帰ってくるの?」
「うん……一度行ったら、最低でも三年は、戻れないと思う」

三年。
その言葉を聞いた途端に涙が溢れた。

覚悟はしていたつもりだったのに……

三年という歳月の長さが私の心を一気に不安に駆り立てた。

私は知ってるから……

三年がどれだけ長いのか、を……

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