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第5章 復讐

「…処女を…捧げる?…」
沙耶が口籠り躊躇の態度を見せる。
残りの5人にも、沙耶の動揺が伝播する。

5人の様子を見ていると、沙耶はキャプテンとしてバレー部内で絶対的な地位を築いているようだ。
沙耶を落とせば、残り5人も追従してくるだろう。

まず、沙耶を落とす。

「沙耶。こちらに来なさい」

神内は、沙耶を5人から引き離し、倉庫の隅で個別に語りかける。

「沙耶。眼を閉じなさい」
「…はぃ…」
神内は沙耶に追催眠をかける。

「沙耶は、キャプテンとして、いつも頑張っているね?」
「…はぃ…頑張って…ます…」

「沙耶は、常に部員の事を考え、名門女子バレー部として、バレー部を強くする事ばかり考えているね?」
「…はぃ…強くする事…ばかり…考えて…います…」

「沙耶は、誰にも相談できずに、プレッシャーに、押し潰されそうに、なっているね?」
「…はぃ…誰にも…相談…できません…」

「僕は、誰よりも沙耶の事を理解しているよ。誰よりも沙耶の気持ちを理解しているよ」
「…神内君…だけ…」
神内の優しい語りかけに、沙耶の閉じた眼から涙が溢れ出してきた。

「沙耶の事を一番理解しているのは、僕だけだよ。沙耶は判ってるね?」
「…はぃ…私の事を…沙耶の事を…判ってくれるのは…神内君…だけ…」

「沙耶を救えるのは、僕だけだよ」
「…はぃ…沙耶を救えるのは…神内君…だけ…」

「僕は、いつも沙耶の事を大事に考えてるよ。沙耶の幸せだけを考えてるよ」
「…ありがとう…神内君…ありがとう…」
沙耶の眼から止めどなく涙が溢れる。

神内は沙耶の心の隙間に潜り込んだ。