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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
泉水は黙って首を振った。痛みそのものはたいしたことはない。手加減をしたのは判っていた。だが、痛みよりも愕きの方が大きかったのだ。そして、夢五郎がそこまで自分の身を、腹の子のことまで案じてくれたことが嬉しかった。
その時、ふと疑問に思った。何故、夢五郎が泉水の懐妊を知っているのだろう。光照から聞いたのだろうか。
泉水の思惑など知らぬげに、夢五郎は月を仰ぎ見ながら言った。
「ここから眺める月はいつも見事だな」