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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章  《其の弐》 
 図らずも、嗣道のひと言が弥子にその大切なことを気付かせてくれたのだ。
 弥子は溢れる涙をこらえて、空を見上げた。
 そういえば、今宵は十三夜だったと思いながら見上げた丸い月が涙で朧に滲む。
 二人はそれからも長い間、縁に寄り添い合うように座っていた。
 風に乗って、そこはかとなき花の香が漂う。
 静かすぎるほどの月の夜であった。
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