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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 両親が万事に控えめで表に出ない分、兄の誠一郎が一人ですべてを引き受け、壱之進との様々な掛け合いや交渉事もこなしてきた。
―俺は、父上にも母上にもおよそ似ておらぬ。
 誠一郎は事ある毎にそう言って、苦笑したものだ。
 誠一郎や美咲にとっては祖父に当たる人―この場合、母の父親ということになる。父は婿養子であった―が兄に似た気性の豪放磊落な男であったらしい。
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