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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
美咲は一瞬、戸惑った。眼前の年老いた尼君は信用できそうではある。しかし、全くの見ず知らずの他人、しかもつい今し方出逢ったばかりの人に自分の私的な事情をあれこれ伝えて良いものだろうか。
その躊躇いは当然のものであった。
だが、突如として、それとは相反する烈しい感情が奥底から湧き上がる。それは衝動、あるいは渇望と言い換えても良いかもしれず、眼の前のこの尼君に自分の身に起こったすべての出来事を聞いて欲しい―、そう思ったのである。
その躊躇いは当然のものであった。
だが、突如として、それとは相反する烈しい感情が奥底から湧き上がる。それは衝動、あるいは渇望と言い換えても良いかもしれず、眼の前のこの尼君に自分の身に起こったすべての出来事を聞いて欲しい―、そう思ったのである。