この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
「気が付けば、実家に戻った私は憎しみで心を一杯にしていました。良人が憎い、いえ、何よりも良人の心を奪った女とその子どもが憎いとひたすら憎悪したのです。それは途方もなく怖ろしいことに思えました。でも、私は自分の心を自分でさえうまく保つことができなかった。このままでは、いつか遠からず魂だけが身体からさまよい出て、生き霊となり良人やその女、子どもをとり殺してしまうのではないかと不安に怯えるようになりました」