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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第8章 《巻の参》
 ひとときの静寂があった。
 泰雅の腑抜けた声がこの沈黙を破った。
「そなた、何を言っている? どうして、この俺に子が生まれるんだ? そのような話、俺は断じて知らぬぞ。俺の子を生む女は泉水、そなたしかおらぬはずだが。まさか、もう身ごもったのか?」
 真面目な顔でそう言って泉水の腹を撫でる図々しさに、泉水の堪忍袋の緒が切れた。
「私に触らないで」
 泉水は渾身の力で泰雅の腕から逃れ、膝からすべり降りた。
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