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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第8章 《巻の参》
「違う、それは違うんだ。確かに母上の許にいる女が一昨日の夜、子を生んだ。それは事実だが、その子は俺の子ではない。子を生んだ母親も俺とは何の拘わりもないぞ」
泉水は涙の滲んだ眼で泰雅を睨んだ。
「ここまで露見しているのです。今更、お隠しになられる必要はございませんでしょう。むしろ、いっそのこと潔く認めて下さった方が気が楽というものです」
「良い加減せぬか。泉水、これには深い事情があるのだ。頼むから、俺の話を聞いてくれぬか」