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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「もう良い、もう良いよ、先生。今日のところは帰ってくんな」
 誠吉が低い声で言うと、宗竹は誠吉を意味ありげな眼で見、次いで泉水を一瞥した。
「おさよちゃん、くれぐれも気に病まんことじゃ。その時期が来れば、自然に思い出すこともあり得るからな」
「はい」
 泉水は頷くと、宗竹に深々と頭を下げた。
「誠吉、何がおさよちゃんにとっていちばん幸せなことか、ようく考えてみろよ」
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