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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 誠吉とおさよ共に、この粗末な裏店で産声を上げた。誠吉の父親誠造はやはり飾り職で、なかなかの腕を持っていたという。母はおたきといって、内職で仕立物をしており、こちらも良い仕事をすると、大勢の得意客がいた。その日暮らしではあったけれど、親子三人で慎ましく暮らしていた。
 おさよはその隣に住んでいて、今年二十三になる誠吉より五つ下であった。
「生きていれば、丁度、お前くらいの歳だ」
 話の途中で、誠吉は泉水を眼を細めて見つめ、言った。
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