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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「どうして、どうして、何も思い出せないの?」
 泉水は泣きながら呟いた。
「おさよ、おさよ」
 誠吉がいつしか泉水の傍に来ていた。
「もう止めろ。無理に思い出そうとするのは止めろよ。夜が来る度に、お前がそうやって苦しんでるのを見るのは、俺には耐えられねえ、見ちゃいられねえよ」
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