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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 誠吉の口調は熱を帯びている。月明かりだけの狭い家の中で、誠吉の顔がまるで別の男のように見える。普段は穏やかな横顔に落ちた翳がその表情をいっそう固く見せていた。それでいて、誠吉のまなざしも物言いも常よりは熱を帯びているようだ。
 泉水はいつもとは違う誠吉を怖いと思った。
 我知らず身体が震えてくる。
 と、誠吉がハッとした顔になった。
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