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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
 雨音はいっそう激しくなったようだ。誠吉はやおら立ち上がった。
 おさよが行ったのは長屋の木戸口を出てすぐの小さな八百屋だ。よもや、あの男と出くわしたりはしないだろうが、この雨では難儀しているに相違ない。
 誠吉は外に出た。途端に、大粒の雨が容赦なしに降りかかってくる。まるで盥をひっくり返したような大降りになっていた。
 雨の中を傘をさして歩いてゆくと、向こうから駆けてくる人影が見えた。
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