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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第13章 《巻の参―驟雨―》
 誠吉は桜の玉簪を眼の前にかざして振っている。しゃらしゃらと無数に連なった玉がこすれ合い、涼やかな音を立てた。
 しゃらしゃら、しゃらしゃら―。
 澄んだ、良い音色だ。心が和んでゆくような。
 しゃらしゃら、しゃらしゃら。
 誠吉がなおも簪を振る。その音色が泉水の耳にひときわ大きく響いたような気がした。
 そこで、泉水の中で唐突に閃いたものがあった。
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