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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 泉水を愛するがあまり無体なふるまいに及ぼうとしたものの、けして根は悪い人間ではなかった。たとえ男女間の感情ではないにせよ、泉水は確かに誠吉を兄のように思っていたのだ。
 泉水は我知らず小さな吐息を吐き出していた。蒼色の絵の具を一面に塗ったような空に、刷毛ではいたようなひとすじの雲がたなびいている。
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