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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 その時。背後で悲鳴が聞こえ、泉水はハッと我に返った。咄嗟に腰にはいた剣に手をかける。振り向くと、少し離れた後ろで、子どもが泣いていた。子どもの近くに大きな野犬がいて、烈しく吠え立てている。
 灰色の身体は薄汚れていて、しかも並外れて大きな犬だ。首輪もしておらぬことから見ても、飼い犬ではない。
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