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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 美しき僧の双眸がじいっと射貫くように見つめている。そのまま見つめられていると、無限の闇に心まで絡め取られてしまうようで、瞳の奥の闇に吸い込まれてしまいそうで。
 泉水は眼を伏せた。瞼に再び想い出が蘇ってゆく。
 祐次郎と二人で眺めた見事な椿。鈍色の空をつんざく雷。滝のように白い飛沫(しぶき)を上げて降っていた雨。
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