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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
《巻の弐―花―》

 鳥の啼き声が近くで響いたかと思えば、庭の桜の樹の枝が一瞬、揺れた。薄桃色のたっぷりとした花をつけた枝はかすかに身を震わせ、桜貝のような花びらをはらはらと散り零す。
 泉水は軽い吐息を洩らし、蒼空へと吸い込まれてゆく鳥の影を追った。高く舞い上がった鳥は、直に見えなくなる。
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