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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
 泉水の母である最初の正室貴美子は泉水が五歳のときに亡くなり、泉水が槇野家のただ一人の姫であった。そのため、堀田家より次男の祐次郎を婿に迎えた上で、跡目をと話が決まっていたのだが、これは祐次郎の早世で実現することはなかった。
 祐次郎の死後、末を言い交わした相手の男を取り殺す物の怪憑きの姫―なぞという、忌まわしき噂が流れ、縁談も来ず、源太夫は一人娘の将来を憂えていたのだ。幸いにも泉水は榊原泰雅という生涯の伴侶に恵まれ、槇野家も新たに嫡男誕生という歓びに恵まれた。
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