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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
 泉水は無意識の中に立ち上がった。
 開いた襖の向こうから泰雅が歩いてくる。
「殿ッ」
 泉水は泰雅に縋りついた。
「おい、泉水。一体、どうしたんだ?」
 泰雅はいきなり抱きついてきた妻に、愕きながらも嬉しさを隠しきれぬ顔である。
「殿、お怪我は、お怪我の方は、いかがにござりますか」
 矢継ぎ早に訊ねると、泰雅は笑った。
「何じゃ、もう聞いておるのか。脇坂の奴、あれほど知らせずとも良いと申したものを」
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