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11月の雨
第3章 岳裕
俺の女神は
心地良さそうに泣いている。

悲鳴を飲み込むように喉鳴らして
時々、やばそうな声が出はじめる。

ヘタすれば
隣りに聞こえるかもしれない。
そう思ったから壁も、窓も厚くしてる。
この家は安全だ。


「そろそろいいんじゃないの」

やっぱり返事はない。

ルージュ引いた唇が
気持ち良さそうに歪んでいる。

キスすると
条件反射みたいに
舌を、差し出してくる。

「いいみたいだね」

顔を引き離してタオルをほどく。
アイマスクは取らない。
まだバイブでヨガっている。
さすがは俺の女神だ。


結婚しとけば 周りからも世間からも
怪しまれたりしない。
だから必要なのは、女だ。

この家では、二人っきりだ。
邪魔も入らないし 愛想笑いもいらない。

嘘もいらないし 
服着る必要もない。

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