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例えば、こんな...
第6章 バレンタイン企画
誘っては来たものの恥ずかしがって服を脱ごうとしない真純に、先に入ってもらう事にした。
時間差を置いて脱衣室に入る。そこにも広がる甘い香り。
軽くノックして声を掛ける。
「入る、よ?」
「……あ、はい」
焦った様な声にザブンと湯槽に入る音が続いた。
ドアを開けるとチョコの香りが強くなる。真純は俺に背を向け、まんま薄いチョコレート色の湯槽に浸かっていた。
「見るからにチョコのお風呂だね」
声を掛けても壁と向き合って小さく頷くのみ。

……ふーん

「これ、脱水になるとマズイから飲んで?」
ペットボトルの水を差し出すとようやく真純がソロソロ振り返る。
「俺のも持っててくれる?」
「……はい」
二本とも受け取って、また向こうを向く。

……意識し過ぎ。
すげぇー可愛いんだけど……

ツイッとうなじを上から下へ指先でなぞり、鎖の上から口づけた。
「ひやっ」
ドボンドボンと音を立てて、ペットボトルがお湯の中に落ちる。大げさな程に肩をすくませ、真純の身体が縮こまってる。
「お水、落ちたよ?」
「あっはいっ」
急いで拾う仕草についふふっと笑みがこぼれた。
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