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第20章 　ほどけて

「そしたらお母さん、よかったね、って。
……あおいにそういう相手ができてほんとよかった、って言いながら泣きそうになってるの」


声が少し詰まったように聞こえ、再び彼女を見たけれど。
その表情は変わってなくて。


「……ずっと、心配してくれてたみたいで」

「あおいさん……」

「口には出されたことなかったけど、ずっと気にしててくれたみたいで」


すん、と。
鼻を少しすする音。


「……なんだか自然に言えたの。謝れたの」


俺は黙って、その続きを待つ。


「心配かけてたの気づかなくてごめんね、って。
それから今までいっぱい迷惑かけたことも……離婚のことも。
今更だけど、本当にごめんなさいって」

「……ん」


そしたらね―――そう呟いて続ける。


「困らせちゃった」

「え？」


そんなあおいさんも困ったような顔で笑い、俺を見た。