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暁闇
第20章  ほどけて


「……だから言ったじゃないですか。
きっと誰もあおいさんのこと、責めたりなんかしてないって。
そんなの誰も望んでないって」


俺も、その手に力を込める。


「あおいさんの幸せは、あおいさんを大事に思ってる人たちをも幸せな気持ちにするんだ」


そうやって、きっと広がっていく。
幸せは……相手を思う優しさは。


「だからだめなんです。
……ちゃんと幸せにならないと」


幸せになっちゃいけないだなんて。
そんなこと、やっぱりあるわけがなかったんだ――――。


「……ありがとう、翔悟くん」


俺の胸元に顔を埋めたままで、彼女が言った。


「俺は何も」


そう――――俺は何もしてない。
彼女が自分で考え、決めて、動いた。
すべて、その結果だ。

けれど彼女は首を振る。


「違うよ……」


それから、そっと顔を上げて。
俺を見上げるようにして、言う。
その瞳は、潤みを増していて。


「翔悟くんがいてくれたからだよ……?」

「あおいさん――――」


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