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第23章 　優しさの連鎖

「何て顔してんの」


ははっ、と笑われて。
だって……と返し、俯いた私をまた強く抱き締めてくる翔悟くん。


「そんなことあるわけないって。
……またいろいろ考えてたでしょ」


ほんとにもう、と。
苦笑しながらまた顔を覗き込まれる。


「……だって」


拗ねたような口調になった自分に驚きながら。


「俺があおいさんにがっかりすると思う？」


彼の楽しそうにも聞こえる言葉に衝動的に、また返す。


「されたくないからいろいろ考えちゃうの……！」


そしたらまた、翔悟くんが笑うから。
もう、と呟いて。それからつられるように私も笑ってしまった。


……幸せ。


翔悟くんと一緒なら、ネガティブな自分さえも愛せてしまいそうな。
そんな錯覚に陥りそうになる。