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第25章 　Epilogue

穏やかで、幸せそうな村上くんの顔を間近で見て。
それだけでもう、こみ上げてくるものがあったのに。


『おめでとう……』


それを堪えながらそう伝えた私に


『何泣きそうになってんの、桜井』


少し困ったように笑う、そのよく知ってる彼の顔。


『今日、来てくれてサンキュ。
……すげー嬉しい』

『うん……』

『俺、桜井に言いたいことあってさ』

『言いたいこと？』


なに？　と聞いた私に、村上くんは


『……ん』


少し、俯いて。


『なんか、あらためて言うのも照れるけど』


それから、私と目を合わせ。


『あの時間は無駄じゃなかった』


……そう、口にした。


『桜井のこと好きだったから彼女と出会えた』


彼らの結婚を知ったあと、加奈から少し聞いてはいた。
私たちの結婚披露パーティーでふたりが出会ったことを。
……それを、言っているのだろうか。