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第5章 　終わらせる決意

「……琴音さんに初めて会ったのはおととしの秋」

「え？」

「和美と行った映画館で、琴音さんと一緒だった桜井くんに偶然会ったの」


そしてまた視線をグラスへと落とす。


「……分かっちゃった、すぐ」

「え？」

「和美が桜井くんに気づいて声を掛ける前に、私はもう先に気づいてて。
琴音さんと楽しそうに話してる桜井くん見て。愛おしそうに琴音さんを見る彼を見て。分かっちゃったの。
……この人が、桜井くんの想い人だって」


哀しそうに、少しだけ笑って。


「妹、って紹介されて、ああ……どうにもならない相手って、そういうことかって。
血の繋がりがないって聞いたのは、ふたりが付き合ったあとだったかな……」


俺は頷いて。
俺も、桜井と先輩が本当の兄妹じゃないと聞いたときは驚いたっけ……と、そのときを思い出す。