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暁闇
第5章  終わらせる決意


「……俺、頑張りましたよね」


少し調子に乗って彼女に聞くと、松下さんは少し驚いたような顔をしながらも、優しく笑ってくれた。


「はい」

「……うわ」


肯定された途端、なんだか急に恥ずかしくなって。
タイミングよく出された酒を飲むために、彼女から目を逸らしたそのとき。


「……頑張りました」


その一言が。
無防備になっていた俺の心に、なんだかすごく響いて。

チン……と小さく音を立てて触れ合わせられたグラス。

綺麗な、その音。


「……松下さん」


俺は手元のグラスを見つめながら、彼女の名を呼んだ。
はい、と小さく返事が聞こえ、俺は視線を彼女へと移す。


「話聞いてくれて、本当に感謝してます。
俺も、いつでも松下さんの話聞くんで」

「村上さん……」


そして、今更ながら気づく。


「俺のこと、さんづけじゃなくていいですから。
呼び捨てとかで。こっち年下なんだし」

「あ……はい」


そして、少し考えて。


「じゃあ、村上……くん」

「はい」

「そのときは、お願いします」

「……はい」


顔を見合わせて、微笑み合う。


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