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BAR・エロス
第1章 はじまり・・
少し重くて、
私の力じゃ片手ですんなりとは引けないドアを開けてすぐ
その広さにちょっと驚いた。
外から見た感じだと
ウナギの寝床のように
細長いカウンターだけの、よくありがちな
バーの造りを想像していたから。

その広々とした空間の解放感に、
初めての店に足を踏み入れる時の
緊張感が少し和らいだ気がする。


「いらっしゃいませ。おひとり様ですね?」


カウンターの真ん中あたりにいたバーテンが近づいてきた。

・・なんだ?このバーテン!
  すっごいイケメンじゃない!・・

ですね、と決めつけの言葉が気にはなったけど、
あんな美しい微笑みをむけられたら
そんなことどうでもよくなった。

ハイ、と身をくねらせモジモジしながら
彼の気を引こうと眼を細めて視線を落とす。

そんな女のわざとらしさには
まったく関心がないといった感じのバーテンは、
こちらへ、と
ドアを背にして右のカウンターへと案内する。

この店、カウンターが向かい合って2列ある。
間に入ったバーテンは
どちらのカウンターにもむかえるようになっている。

酒瓶は、突き当りの壁一面に
びっしりと並んでいる。
かなりの種類がありそうだ。

そのカウンターの中央あたりの椅子を指し、


「こちらへどうぞ」


そう言ってスツールを引いてくれた。
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