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小さな恋のうた
第1章 秘密の補習授業



「…杉原。補習。

放課後体育教員室来なさい。」



『えっ…あ、はい…。』





今日は私が大の苦手な

マット運動のテストだった。



課題を1つもクリアできず

補習を命じられたのは

私ただ一人だった。





「香織~。

本当にテスト0だったんだね…。」



『里香ちゃん…どうしよー…。』



「まぁ補習出たらなんとか

なるでしょー。

本当運動音痴なんだから…。

でもあのイケメンの澤田先生と

2人で補習なんていいじゃん。」



『でも…澤田先生恐いよ…。』



「5組のおじさん先生より

全然ましでしょ。」



『そうかな…。』






私たちの担当は澤田先生。


今年新任でこの学校に来て

大学時代全国大会に出た

実績を買われて

バスケ部の顧問もやってる

ゴリゴリの体育会系だ。




若くて、カッコいいって

みんなに人気だけど

超運動音痴の私には

ちょっと厳しくて苦手。



授業以外では話したことも無い。



今まで補習にだけは

ならないように頑張ってたけど…

マット運動だけはだめだ。








―キーンコーン…。





『はぁ…行くかぁ…。』




終業のチャイムのあと

私は一人体操着に着替え

体育教員室へ向かった。





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