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HOTEL・LOVE
第13章 その一歩
「やだ、そんな、頭あげてよ。

 そんなに頭下げられるほどの事してないから、ね、ね?」



下から香澄に覗き込まれて、とっさに

ベーッと舌を出した。

うっそー!とふざけると、



「いや~許せなぁい!もう心配しないから!」



頬をふくらませる香澄に手を合わせる。

ごめん、許してぇと体を揺らす。



「じゃあさ、お詫びとお礼に・・

 もしよかったら・・ 日曜に昼飲みでもしない?」


「ホントに?」


「昼間なら・・時間もたっぷりとれるでしょ」


「え・・」



香澄の頬がうっすらと赤みを差した。

時間がたっぷりとある・・それは

2人でいられる時間、と解釈して・・いいんだろうか。



「だめかな、やっぱり・・」



視線を落とした晴樹に、かけられた声は明るかった。

とびきり、明るかった。



「もちろんオッケーよ!うれしい!楽しみにしてる!」



その時、香澄の心の防波堤は、

大きな音をたてて崩れていった。

高く乗り越えてくるかもしれない波を

もう止めるものは無い・・


香澄の中で起こっているその様子は目には見えないはずだけど、

晴樹には見えていた。

彼女は・・オレを受け入れる・・・

晴樹の中の要塞も、あっけなく壊された。
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