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HOTEL・LOVE
第9章 さらに縮まる距離


一方の香澄は、

その質問に首を横に振った。



「平日はね、

 この時間で終わるのは私だけなの。

 昼は主婦が多いんだけど、みんな

 2時とか3時で終わりなの。

 お子さんが学校から帰ってくるまでに

 おうちに帰るようにってね。

 だから帰りはいつも1人。

 こんなふうに仕事帰りにお茶できるなんてはじめてよ」


「そうなんだ・・

 笹木さん、お子さんは?」



同じように家庭を持つ者として

深く考えることなく口をついて出たが、

その一言に香澄があんな表情を見せるとは

思わなかった。


コーヒーカップを揺すりながら

かすれるような笑みを浮かべて

ぽつりと答える。



「うち・・子供いないの・・

 できないみたい・・」



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