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悪戯な思春期
第3章 王子様の刺客は忍者

「別にやましいことはっ」
「訊いてもないのに否定するなんて怪しいなぁ?」
「雅樹ぃ……」
「瓜宮にナニかされた?」
「何も……」
「何もないことないよね? ならその湿布と着ているカーディガンはナニ?」
「これは」
「ナニ? その辺で拾ったの?」
「違うけど……ごめん雅樹」
「謝る理由がまだ聞かされてないけど」
 椎名は尋問されてる犯人の気分を味わっていた。
「俺に言ったのは嘘だった?」
「嘘なんて吐いてないよ!」
 俺は抱き締める力を強めた。
 このまま本当に折れてしまいそうだ。
 そんな不穏なことさえ思いつく。
「次は……」
 俺は椎名の耳元で囁く。
「中途半端にしないって」
 怯える君。
 震える君。
 喜ぶ君。
 まだ瓜宮が知らない君。
「……まっ、あぁッ……ふあぁ雅樹ぃ」
 首の湿布を歯で剥がしとる。
 ピリピリと音を立てながら剥がれるそれにすら、君は快感を覚えている。
 湿布を床に落とすと、キスマークを一つ一つ舌でなぞった。
「……ひゃあうッッ……やッ……はぅッッ……」
 仰け反る回数も痕の数。
 本当に君はカワイくてカワイそう。
「やああぁッ……やだ……」
 でも嘘吐きだ。

 隣の部屋には瓜宮がまだいる。
 声は簡単に聞こえる。
 聞かせてやるつもりはない。
 だが、聞かせたい気もした。
『素敵な女性だよね』
(お前のモノにはなんない)
『なんで言い切れるの? 一回ヤれば安心なんだ?』
(お前そういうキャラだったんだな。万が一にも負けないね)
『じゃあ、彼女のところ行きなよ』
(あぁ、そのつもり)
『彼女……キミの顔見ないから』
(どういう意味だ?)
『ハハハ……早く行きなって』
 忍者は愚かな人間を蔑む。
 俺はそれを学んだ。
(なぜかって?)
 椎名は一度も目をむけないからだ。
『彼女……キミの顔見ないから』
 どうやら本当にそうらしい。
「ねぇ椎名」
 俺は椎名の両手を掴む。
 そのまま壁まで押し付けると、尚も俯く彼女を見下した。
「俺のこと好き?」
 椎名は真っ赤な顔を更に紅くした。
「……それはっ……」
 俺は右手を椎名のスカートにかける。
 流石にびくりと反応する。
「俺のこと好き?」
 下着に指が触れる。
 椎名は首が千切れそうな位横に振った。
 どっちに対しての返事だろう。
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