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キズアト
第6章 恋人
トイレを出て給湯室の前を通りかかると、か細い泣き声と「大丈夫、私に任せて」という水原の声が聴こえた。

面倒見がいい水原はいつも誰かしらの相談を受けているから、こういう場面を見かけるのは日常茶飯事だ。

「で、でも危ないです。もし巴先輩に何かあったら木瀬さんにも申し訳ないです…」

え、俺!?

「余計な心配しないで!みんな誤解してるけど私とあいつは恋人なんかじゃないの、ただの同僚なんだから」

ズキン、と胸が痛んだ。
さっき自分も言った言葉なのに、改めて水原の声で聞かされるとズシッとくる。

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