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誘淫接続
第6章 強制接続
 細かな破片がキャリーバッグの下から飛び散る。
 翠がキャリーバッグを蹴飛ばす。その下からは、画面にひびが入り真っ黒で何も映し出されていないスマホが現れた。

 もう、貞操帯の責め具を止める方法はない。
 翠は、大声で弾けたようにキャハハハハッと笑った。
 「何度も何度もイきまくっちゃえええぇぇえっ!!」
 何かに取り憑かれたような目で翠は叫んだ。そして麻琴を置いて、足早に人ごみの中に消えていった。

 大勢の人間が、残された麻琴に視線を向け続けている。
 誰も彼もが、白い目で、軽蔑するような目で見ている気がする。
 ――ああ……
 ――見ないで……
 麻琴の前で足を止める人の数が増えていく。
 動き続けている淫具は一切の手加減なく麻琴の身体を追い詰めていく。

 麻琴は突然バッグを開き、中を漁り出した。
 ポーチをつかみチャックを開く。
 セーフティハサミを入れていたはずだ。貞操帯の電源コードを切ってしまえばいい。
 ――止められる……!
 ――止められる……!
 ――止められる止められる止められる止められる止められる……!

 麻琴は必死にポーチをまさぐった。
 しかし、見当たらない。
 バッグの中を隅々までかき回す。
 おかしい。
 確かに入れていたはずなのに。
 何かの時に出したまま、しまい忘れたのか。
 ポケットというポケットを確かめる。
 ない。
 やはり、ない。
 どこにも、ない。
 麻琴はめまいに襲われた。

 ――ああ……
 ――みなさんごめんなさい……
 ――もう……
 ――これ止めることできないんです……
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