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唇に媚薬
第1章 理想と現実

「わ、私……葵のこと好きよ。
友人として、ほんと好き」

「…………」

「でも、あなたと恋愛はできないわ。
葵を……そんな風には見れない」


再び雨が激しくなってきた。
葵に話す隙を与えないように、私は捲し立てるように喋り続ける。

どうして私はこんなに動揺してるの?
どうして葵は落ち着いていられるの?
からかっただけ?
たった数秒のキスで、心がかき乱させる。


「葵と違う人と、出逢いたいの」


そこまで話した所で、ハッと我に返った。

私に傘を傾けてるせいで、コートに水滴が光っていて

……葵は、切なそうに笑った。



「分かってるよ、蘭」

「…………っ」

「………分かってる」


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