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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫

……ねぇ、葵。
その可愛いお嬢さんはどなたかしら?

◯の内の系列ビル郡で、一際高い本社ビル。
日本最大の総合商社。

偶然とはいえ、続々と出てくるエリート軍団の中から
視力1.5の両目で、貴方を真っ先に見つけたというのに


「……あの肌の艶……20代前半」


エントランスの前にある、石像の後ろに隠れて
ボソリと呟いた私は怪しいなんてもんじゃない。

クールで、美しくて、高嶺の花。
……そう、しつこいけどそれが私の理想の女性像。
頑張って近付けるように努力しているつもり。

だけど

今、差し出された葵の手に
顔を真っ赤にして右手を重ねて立ち上がった彼女は


「……可愛い」


〜〜そして若い!
その時点でもう負けてるというのに

全体的に小さい!
背伸びして顔が葵の胸の位置って何センチ!?

栗色のロングヘアがふわふわしてる!
ピンクのチーク似合ってるし!
白って膨張色なのに全然太って見えない!

てゆーか

〜〜〜いつまで手を握っているのかしら!?


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