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サイドストーリー3
第9章 恋心あれば水心
「山田さん」
「柳下か。久しぶり」
食堂を出るところで声をかけられた。
大学時代からの後輩だ。
「社内報で新しい企画を考えているんですが何かないですか?
もう締め切りギリギリなんですがいい企画が思いつかなくて」
社内報ねぇ・・・
どれだけ社内報なんかみんな読んでいるんだろう。
でもそれをいつも真面目に編集しているこいつを嫌いじゃない。
「あんなのお偉いさんの自慢話でも載せときゃいいんじゃないの?」
どーせ、上層部しか読まないんだろ。
「それじゃ今まで通りじゃないですか。
何か若い社員でも読みたくなるような社内報を作りたいんですよ」
「ふぅ・・・ん」
「ただ配られるだけの社内報なんかその役割がもったいないじゃないですか」
確かにな。
「お偉いさんから若い人まで、読んでくれるようなものにしたいんです」
こいつ・・・
いくつ下だっけ?
3つ下・・・か。
へぇ。自分の仕事にプライドを持つようになったか。
「1つ・・・いい企画があるんだけど」
俺はニヤッと笑った。
「なんですか?」
「上層部ににらまれるかも♪」
「いいですよ。俺が責任を持ちますよ。スキャンダルや悪口や
人を蹴落とすタイプの記事じゃなければ」