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サイドストーリー3
第30章 心も抱きしめて④
俺と由香里が付き合い始めたと聞いて、いつもは年に1回しか会わない
サークルのメンバーが、お祝いに会おうと集まってくれた。

わざわざ土曜日にしてくれたけど、やっぱり俺は休出で
遅れて行ったら、いつものようにみんな出来上がっていた。

「そうですねー。石島さんは優しいですよ」
「やさしいかー。松元には優しいのかー。あの石島がなぁ~」
「石島君が優しいのってあんまり想像つかないね~。
なんか、女の子に執着なさそうなのにね」

勝手なことを言ってる。
ちょっと、座敷の前で話を盗み聞くことにした。

「あ。私も石島さんのイメージはそんな感じでした」
なんていう由香里の発言に一気にその場が大笑いした。
おいおい・・・・

「松元、付き合っても『石島さん』って呼んでるのか?」
「そうですっっ!」
由香里、相当飲んでるな?
「石島は付き合う前から、俺たちには『由香里』って呼んでたぞ」
あいつらのニヤニヤが思い浮かぶ。
「本当ですかっ!」
「本当だ。だから松元も『隼人さん』って呼んでやれ?」
あっはっはっは。とまたも大爆笑だ。
そろそろ顔を出すか・・・

「俺は、『隼人』がいいな」
そう言って、急に暑苦しくなったネクタイを緩めながら
盛り上がっている座敷に入って行った。

シンッとなって笑いをこらえる面々をしり目に
由香里の目の前に座り込んでじっと由香里をのぞき込む。

「隼人、って呼んでよ。由香里」

「ん~・・・・・・まだ無理です~」

なんて酔ってるくせに恥ずかしそうに照れ笑いする由香里に俺は苦笑いしたあと
みんなの前で抱きしめた。

「みんな、今日は集まってくれてありがと」

まぁいいよ。
そのうち、ベッドで呼ばせてやる。


END******


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