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第9章 環と祥子

『私……、今日は帰ります。』

『えぇ。今日は、驚かせてごめんなさいね。』

『あの…』

『えぇ、悠太には、来たことは内緒にするわ。』

『すいません……』


祥子は帰って行った。
来る時の不安は、今、混乱に変わっているのだろう……

見送る背中が痛々しかった。


それから数日、祥子は悠太と、職場でも、顔を合わせる機会が無かったことを、神に感謝した。

どんな顔で悠太が見れるというのか、祥子には、ショックがあまりにも大きすぎたのだった。