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翻弄の果てに
第9章 環と祥子
『悠……』

『ん?』

『貪って……淫らに…激しく…』

『たま…き……』

『お願いよ…悠……』



環はどうしたのだろう?
環の中に、何が起きたんだ?
今更、あの男にされたようになりたいというのか?

俺の時間が止まっていた。
と、同時に、環を取り戻すために奔走した、これまでの何年ものことを思い出していた。

俺は、環のためだけに生きてきたようなものだった。環のためなら何でもやった。
環の笑顔が見たかったから。俺だけに見せる、最高で特別の笑顔が欲しかったから。


今、ここで、俺に懇願する環の顔は、初めて見る顔だった。

鬼気迫る勢いの、その顔は、俺に「NO」を言わせない、それほどのものだった。



『わかったよ、環。後悔しても遅い、ホントにいいんだな?』

『えぇ…後悔なんか、しない。』



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