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翻弄の果てに
第10章 新しい家族
『勝手か?そうだな…環は勝手だな。なあ、悠太。お前は環に対して勝手だと言うが、わしや、母さんには勝手だとは思わないか?』


『……。わからないな……でも、なんで環の異変にもっと早く気づかなかったんだ!とは思う…かな…』


『そうだよな……わしも母さんも自分を責めたさ…悔しくてな。』


『なあ…親父…俺は生まれてきて良かったのかなあ……環が死ぬこともなかっ……』

『悠太っ!何を言ってるんだ!環は、お前を産んだことは後悔なんかしてないんだぞ!お前が居たから環は日々、お前を励みに生きたんだ。』

『親父……』

『お前は生きろ!環の分も精一杯生きるんだ。そして、環の願いを叶えてやってくれ。お前が幸せでいることを望み、願い、環は逝ったのだから。』


『明日…墓参りに行く。環と向かい合って来るよ。』


『そうだな。』


俺は、親父の前で、初めて素直になれた気がした。




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